Entry: main  << >>
ボロボロの歯
0
    今日は3ヶ月ごとの定期検診に来た4歳ぐらいの男の子の話です。

    ほとんど全ての乳歯が虫歯、それもひどい虫歯です。

    ファミリー歯科ではこういう子が結構います。
     
    私は自分が歯医者になるとは夢にも思っていませんでした。

    しかし小学生の頃、歯科医院に通ってない年がないほど虫歯に悩まされていました。

    私はこの年になっても小学生の時何度も麻酔をしても効かなかった虫歯の歯に、穴から直接神経に麻酔を打たれた時の痛みと衝撃が今だにはっきりと脳裏に浮かんで来るのです。

    こういった強烈な痛みは「トラウマ」となってその人間の人生に一生ついて回るものだと思いました。

    そして同時にそういうトラウマを持ってしまうと、本当に痛くて我慢できなくなってからしか来院できなくなってしまうのです。




    そういった自身の経験からか、私の乳歯に対する治療は、とにかく痛くなく、痛くならないようにという治療を徹底するようになり、またそういう治療のノウハウが加速度的に定着していきました。

    幼児や恐怖感の強い子供、口の中を触られるのが苦手な子、そういった子達は、虫歯菌を殺すうがい薬やフッ素などでひとまず虫歯の進行を止めた上で、あせらずにゆっくりと口の中を触られる事に慣らしていきます。


    ある程度慣れてきたらルーペを使いながら手作業で丁寧に繊細に特に柔らかくなった部分の虫歯のみ取り除き虫歯を固くするような薬を詰めて治療をしていきます。

    徹底して痛みを伴う治療行為を避ける、必要のない治療はしないようにしながら新しく生えてくる永久歯の予防を完璧に行います。

    結果、ほとんど麻酔する事もなく痛くなく治療を完了させる事に成功しています。



    親御さんのなかには子供の口の中を虫歯でボロボロにしてしまった事に深く罪悪感を持って来院する方もいます。

    そしてこれからわが子が泣き叫びながら治療を受けるであろう事に対して、戦々恐々として暗い顔をしています。

    そういった親御さんに

    「大丈夫、これからしっかり予防して永久歯を虫歯にしなければよいだけです。乳歯はなるべく痛くなく治療しながら生え変わりまでなんとか持っていきましょう」
    そう言うと、急に親御さんの顔は晴れやかな顔に変わってきます。


    さて冒頭に戻ります。


    このお子さんはいつもお父さんが連れてきます。

    にこにこしながら自分で診療台に登って座ります。

    「特に痛みや問題はありましたか?」
    「いえ全然ないです。」
    「予防をしっかりやれば最後は綺麗な永久歯に置き換わりますから、これからも3ヶ月おきに連れてきてください。」

    「ええ、ここの歯医者さんなら息子も通えるんで!」

    その言葉はぐっと心に入り、これからも自分のやり方を貫いていく気持ちを強くしてくれました。
    | 安部秀弘 | 11:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
    Comment








    Trackback